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 曲目へのアプローチ 
能は南北朝以降江戸時代前期までに約3000の曲目(作品)があったようですが、それぞれの時代の好みや出来不出来などによって現在に伝えられているのは240作ほどです。
そして現在上演されているものの多くは南北朝から室町時代末期の200年の間に作られたものです。
また、明治から現在までに作られた新作能も多数あり、伝統を守りながらも未来に伝えられる試みがなされています。
曲目の作り手は特別な台本作家などがいるわけではなく、演者自身によって作られます。先にあげた世阿弥の他、観阿弥(かんあみ)、十郎元雅(もとまさ)、金春禅竹(こんばるぜんちく)、小次郎信光などがすぐれた曲目を作っています。

世阿弥の曲目には「敦盛」(あつもり)、「井筒」(いづつ)、「高砂」(たかさご)、「花筐」(はながたみ)などがあります。「夢幻能」(むげんのう)と呼ばれ、あの世とこの世の交流を描いています。題材は「源氏物語」や「伊勢物語」などの王朝の文芸作品に求めています。

観阿弥の曲目には「自然居士」(じねんこじ)、「卒都婆小町」(そとわこまち)、「江口」(えぐち)などがあります。当時の現代劇で、身近なものを題材にして、台詞の軽妙さが観客に親しまれたようです。

十郎元雅は世阿弥の長男で豊かな才能に恵まれていましたが早世しています。「隅田川」(すみだがわ)、「弱法師」(よろぼし)、「歌占」(うたうら)などがあります。世俗的な題材をリアルに描いています。

小次郎信光の曲目には「安宅」(あたか)、「船弁慶」(ふなべんけい)、「羅生門」(らしょうもん)などがあります。ドラマチックでスケールが大きく、ショー的要素の色濃い作風は能としては異色です。
さて、現在上演されている曲目はおおむね以下の5つのジャンルに分けられます。

神(神能かみのう)
神を主人公としたもの

男(修羅物しゅらもの)
主として源平の武将を主人公としたもの

女(鬘物かつらもの)
シテ(主演者)が女の能で、古典物語などのヒロインを扱ったもの

鬼(切能物きりのうもの)
鬼・天狗・妖怪など人間以外を主人公としたもの

狂(雑能物ざつのうもの)
他の分野にあてはまらないもの

参考文献「能をあなたに」(檜書店発刊)


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